「という訳でユウ、Trick or treat?」
「…………何が、という訳で、だ」
「あれ? ユウ気付かなかったの?」

 運良く同じ任務に就けて、被害も精精俺の擦り傷くらいと極めて軽微で無事に終わった。
 戻ってきた教団はオレンジ色で飾られていた。至る所に飾られたジャック・オー・ランタンには蝋燭が入っていて明かりが灯されている。作成に当たり大量に出たはずのかぼちゃの中身は、腹を空かせた白い髪の少年の胃袋に仕舞われたであろうことは想像に難くない。
 本日十月三十一日はハロウィーン、魔女や悪魔が跋扈する日。と一般的に言われているが空想上の魔女やら悪魔やらより伯爵やアクマの方が性質が悪いので何を今更、という感がなくもなくもない。

「…………ああ、南瓜祭りか」
「間違っちゃ無いけど、何か足りないさそれ」

 主に祭りの趣旨、一番大切なところが。

「何言ってんだ。俺もお前も信心深くなんざねぇだろうが」
「そりゃそうだけどー」

 こういうのは様式美って奴で。
 さっきまでお子様エクソシストがそれにかこつけて散々悪戯してたし。
 お菓子をたんまり貰えただろうアレンもホクホク顔だった。

「ふん…………」

 ユウは興味なさそうな顔で、手元に視線を落とした。
 ユウが胡坐をかいているベッドの上には、一枚の布(それはフロシキというらしい)に、箱に、その中に順序良く納められた色々な道具。
 綿でも詰めたような何かでユウはポンポン六幻の刃を叩いている。
 流石の俺も、武器装備中のユウに悪戯を仕掛けるつもりにはなれずに(幾らなんでも自殺行為だ墓穴掘りだ、自分で墓穴掘って飛び込んでさぁ土を掛けて! って上にいる人に叫ぶようなものだから)、その手元を見守る。 
 
「…………それで? お前は今年はどうするつもりだ」
「へ?」
「お前な。バカにすんな、幾らなんでも二年も続けば覚える」
「…………え、えへへ。」

 ヤバい。忘れてると思ってた。だってユウだから! だってお馬鹿だから!!

 見えないところに汗が伝う。去年も一昨年も、ハロウィーンにかこつけてユウにした悪戯の数々。
 勿論俺は翌日死線を彷徨ったもんさ。
 後ろ手に持っていた悪戯グッズを、そーっとベッドと壁の間に落とした。

「今年と去年と、変わったのは何だ?」
「え?」
「変わった所だ。その位分るだろ『ラビ』」

 …………ユウは、最後の俺の名前だけ、声音を変えた。

「え、えーと…………俺とユウさんがお付き合い始めました」

 冷やし中華は…………終わりました。

「だな。んで、まさか、仮にも付き合ってる十八歳がまさかガキじみた悪戯なんてしねぇよなぁ?」
「…………。」

 しようと思ってた。凄く。
 いやだってまさかそんな、ユウから「大人の悪戯希望v」なんてあるわけないと思ってたから!

 フロシキを避けたユウが、顔を近づけてきて、言った。

「さぁ、お前はどんな悪戯、してみるんだよ?」





 さぁ、差し出されたのは甘い悪戯か、お菓子かどっち?





 因みに翌朝、俺の顔面にはちょっとやちょっとじゃ落ちそうも無いコムイ謹製・特性黒インクでFワード含む散々な落書きが施され、まさかの二段階攻撃に頭を抱えたのはまた別の話。
 






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