「正統派ラビュ」を目指したつもりがなんだかおかしいよ!
「…………」
微温いシーツの中で微睡む。部屋はまだ暗い。時計は視界の中に無いがまだ午前五時前、そんな所だろう。ベッドに飛び込んだのが日付が変わる直前頃だったから眠っていたのはほんの数時間か。
何時もならば早々に起きだして鍛錬に向かうが、そんな気にすらならないのは昨夜の疲れから来るんだろうか。
半年程の飢えを癒す為、獣のように散々に交わった。それは「愛しあう」なんて易しい言葉じゃ相応しくない。
その相手はまだ隣で動かない。朝に強く無い相手だ。大概夜を共にしても俺が先に起きて鍛錬に向かい、そしてそれについて後から泣き言を言われる。
そんな様子をふと思い返して、口元が微かに歪んだ。
そういえば昨日は半年ぶりの再会だったというのに互いに大したことを話す訳でもなく問答無用でベッドに飛び込んだ。どうかと思うが口で会話するより体を重ねるほうが手っ取り早いという考えには同意だ。会話は得意じゃないんだ。
「…………」
がっちりと背中まで回された腕の逞しさが増している気がした。本人は重さを感じないと言う槌を使う割には剣を振るう俺よりも上なのはどうなんだ。食い物の好みの違いか?
胸板も俺やモヤシ程鍛錬しない割には厚い。不公平だ、と十六位の頃には思った記憶がある。今は流石にどうでもいい。
そう言えば黙ってれば良い造作の顔だなこいつは。俺も顔だけは褒めそやされる事があるが、断然こいつの方がいいと思う。鼻筋通ってるし睫毛だって結構長い…………あ、髭生えてきてんな。触るとジョリジョリして面白い。大根でも下ろせるんじゃないだろうか。それにしても髭も赤いんだな…………。どうせ俺は今日も何も生えてない。
自分の顔は偶に鏡で見た時女みたいに見えてその度にゲンナリする。この顔だからこいつに気に入られた、なんて思うと若干不本意ではあるがまあいいかと思わないこともないが。
ああ、それにしても全部。
なんてつまらない、なんてくだらない、だけどなんて愛おしい。こうして寄り添ってるだけで涙腺が緩むんだ。
抱き寄せられている胸に縋って目を閉じる。一粒流れた水が胸に触ったか、
「…………どしたのユウ?」
「何だよ、起きてたのかよ」
「顎触られたら流石に起きるって」
寝起きの声が掠れててそれが耳朶を妙な熱と共に擽って来る。ぞくりとした悪寒に身を震わせると、
「寒い?」
「別に、平気だ」
「もっとくっつくさ。ほら、」
「…………ぁ、」
身長が同じ位なのに胸元に顔を埋めたりしてるから、丁度俺の足の間はラビの膝より下辺りだ。
ラビに引き寄せられた瞬間触って、
「…………朝勃ちですかユウさん? 元気さねぇ。昨日あんなに出したのに」
「うっせばーか」
あぁ言わねぇ。絶対言わねぇ。お前の声に欲情したなんて言えたものか。
悪戯に細めた翠の目で俺を見ながら、ラビは膝で俺を刺激した。
「っ、このっ、」
焦って体を離そうとするも逆に余計に強く引き寄せられ、同時に強く触られる。硬く、そして少し乾燥してザラつく膝で擦られるなんて初めてだ。
快感より先に痛みと違和感のようなものを感じる。だがそれも初めのうちだけで、すぐにじわじわ別の感覚が這い上がって来た。
「…………、ふ、ぅ、」
思いがけず呼吸が乱れる。それは実質白旗を掲げると同義だ。ラビの悪戯で簡単に高ぶる自分の躰が少し悔しい。
いつもしない事の所為か手加減がない。グリグリと押し付けられる膝に自分の足を絡めるようになるのは早かった。
暫く目を閉じて、複雑な動きとそれによる快感を愉しんでいる内に。
「ぅ、わっ!?」
膝が離れた、そんな事を思った瞬間勢い良く毛布が引き剥がされ空気に晒された。二人分の体温で温められていたベッドから暖房を入れていない部屋の空気への落差に皮膚が粟立つ。
「何、」
「もう一戦、どう?」
「どう、じゃねぇよ馬鹿、朝から盛るんじゃねぇ!」
「朝勃ちしてるユウには言われたくないさー。それにまだ暗いから夜の内さ」
「朝だろ。五時だぞ」
「いんや、夜さ」
断固として譲らぬ――――――こいつも俺も変な所で意地を張る――――――、やり取りの後、またしても白旗を上げたのは俺だった。
「つか、どうでもいい…………」
「それもそーさね。好きな人とセックスするのに時間なんて関係ないさー」
いや、あるだろ。
と思ったがどうせまたしても言い争いになりそうで面倒だから黙っておく。
下半身同士をぴったりと合わせられて、
「あぁ、くそ」
もうどうでもいい。どうでもいいから、
「早くしろよ…………」
結局その日丸一日、俺達は部屋から出なかった。
あと原作沿いのつもりだったんだけど何がなんだかわけわかんないよ!
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