※モブ注意※
 ※というか王×モブ女性注意※




 辺りには未だ濃密な気配が残っている。先王の時代末期にハレム入りした今宵王に侍った寵姫は然程若くは無いのだが、王は若い女の艶やかな肌もそうでない女の脂の乗った、しっとりとした肌のどちらをも等しく好んだ。
 好みなどあってないようなものだと世継ぎを待ち望む臣下達がどのような女なら王をその気に、――――――王妃を迎え世継ぎを遺すつもりに――――――させられるのかと頭を抱えているがそれは例え天上の女神であろうとも無理な話だ。王がハレムに入る前に含む丸薬の効果を知っているのは、それを調達しているラビただ一人だけだった。アレンにすら教えていない。教えたらすり替えられる可能性がある。
 今日も「面倒事」などとは無関係に一頻り柔肌を堪能した王は、一糸纏わぬ姿の女を腕に抱えながら、水と酒とを携えてきた女奴隷に伝えた。

「猫を連れて戻る」
「畏まりました」

 優雅に一礼した女奴隷は酒を並々と満たした凝った細工の酒盃を王の前に、水の入った華奢な水差しを寵姫の前へ置く。
 一礼して去っていく女奴隷の背をちらと見、それから王は快楽の余韻に息を乱す寵姫に手だけで器用な悪戯を仕掛けた。



 王が盃を飲み干し寵姫が注ぎ、其れすらもまた空けられた頃。
 女達に手を引かれるようにして連れてこられたどこからか猫は、あからさまに様子がおかしかった。
 膝が笑っているのか、立つ事すら覚束ない。顔が赤く、目を潤ませ、息が乱れていた。
 王を認めると、唇を微かに震わせて何事か訴えかけるような顔をする。

「何をした?」
「悪戯な娘達が、何やらしていたようですけれど」

 漸く平静を取り戻した寵姫は怪訝な様子で呟いた。王の許に侍る為の支度に昼の時間を費やしていた彼女は、他の女達の悪戯とやらは知らないらしい。
 女達が手を話すと、ユウはふらふらとした足取りで王の元まで歩み寄り、その手前で足腰が立たぬとばかりに座り込んだ。

「…………さて」

 王はそれこそ猫の子を運ぶかのようにユウを抱きかかえると、もう一度寵姫に口づけ、そしてゆったりとした足取りでハレムを後にした。





 ドサリと寝台の上に横たえらたユウの様子は相変わらず可笑しい。
 さてはハレムの女達に何か盛られたか。
 王は嘆息した。女達が自分を悦ばせるために時折媚薬の類を用いるのは知っている。大方それを与えられたのだろう。
 は、は、と熱く早い呼吸を繰り返すユウは寝台の上で仰向けになり、片手で目元を覆っている。ゆったりとした女奴隷の衣装の為分からないが大方その下の雄は欲情を示していることだろう。

「妙なものは飲むなと仕込まれなかったのか」
「毒、なら、効かない…………」

 成程。それはそうだろう。
 立場的に必要であった王と同じく暗殺者として育てられたユウもまた毒に対しては耐性がある。但しそれは毒なら、だ。流石に媚薬に対しての耐性は付けなかったらしい。

「…………」

 王はユウの上着の前を肌蹴させると指先で胸に触れた。ゆっくりと肉の形を辿る。

「っあ、」

 たったそれだけでユウは堪え切れないと身悶えた。足を堅く閉じ、もぞりと動かす。
 さてどうしたものか、と王は考えた。
 抱いて楽にしてやるのは簡単だが、滅多に見せない姿にもっと見ていたいと思わないことも無い。自分自身の手で快楽を得させるのもいい。夜伽をさせた回数はかなりの物の筈だが知識が乏しいユウは未だに今宵は何をされるのかと夜伽を恐れる事がある。それは最初に痛めつけ無理に犯した所為もあったかもしれない。恐れずとも簡単に快楽を得られる事を教えてやるのもいいだろう。
 王はユウの空いている手を取り、ユウ自身の足の間に触れさせた。

「、?」
「自分でやってみろ。あぁ、終わるまでは抱いてやらねぇぞ?」

 底意地の悪い笑みを浮かべる王に、ユウは小さく抗議の鳴き声を上げた。


 何か盛られた。