※注意※

 これから載せております小説は性描写が含まれるというよりむしろ性描写がメインです。
 なので18歳未満の方及び性描写の苦手な方は避難してください。
 18歳以上の男女エロオッケー! な方はどうぞ↓へ…………



















「…………ユウ、ごめん。待った?」
「然程でも、無い」

 そろり、と歩み寄り同じ褥の上に向かい合う形で腰を下ろす。
 どちらともなく視線を合わせ、外し、また合わせた。

「…………何か改まると恥ずかしいさ」
「…………本当にな」

 ほんのりと桜色に染まった頬で、ユウが答えた。
 ――――――ああ、なんて。
 なんて、綺麗で愛おしい――――――…………

「…………ね、ユウ」
「何だ?」
「――――――ユウを、抱きたい。…………いい?」
「――――――、」

 返答の代わりに、ユウは目を閉じて、
 俺は其れを都合の良い様解釈して、ユウを抱き寄せた――――――。
  







「…………」

 ユウは自ら寝巻きの帯を解き始めた。
 
 ――――――シュルッ

 微かな衣擦れの音と共に、帯か解けて合わせ目が緩む。
 それを脱ぎ落とそうか一瞬迷うような素振りを見せたので、そのまま押し倒して組み敷いた。
 真白の褥の上に漆黒の艶やかな髪が広がる。
 ――――――瞳に、微かな怯えと高揚を映して。
 緩んだ衿元に手を差し込んで直に素肌に触れた瞬間、ユウが小さく声を漏らした。
 
「あ…………」

 ユウは、それを恥じるかのように口許に手を当てる。
 
「…………ユウ、」

 世界が四角に切り取られる。
 触れた素肌が、熱い。
 一度唇に口付けて、それから首筋へ。それだけで理性の枷が軽々と外れかける。
 …………待ったのは、二年。 

「お前の心臓、五月蝿い」

 ユウがぼそ、と呟いた。
 
「あれ? 聞こえるの?」

 意識的に満ちる熱を無視しながら、彼女の言葉に答えた。

「…………凄く、五月蝿い」
「ユウだってそうじゃん」

 襟元を寛げて、露になった胸を手で柔らかく掴んだ。奥から伝わる、命の鼓動。
 控えめな盛り上がりに、頂点に薄紅の突起。微かな硬度にちら、と彼女の反応を伺ってから右胸の突起を口に含んだ。開いた左胸は指先で摘む。

「っ…………ふ…………」
 
 態と水音を立てながら吸い上げると、舌先に感じる突起の硬度が増した。その感触と時折上がる声を愉しみながら、滑らかな太腿に手を這わす。
 …………未だ、脱ぎきっていない寝巻きが邪魔。

 ちゅく…………ぴちゃ、

 水音を立てて名残惜しくも唇を離す。
 肩の辺りで縺れたままの白い寝巻きを剥がすと、ユウが手を伸ばして俺の夜着の帯に触れた。

「ちょっ、ユウ?」
「…………人を脱がすならお前も脱げ」
  
 言いながら器用な指先で俺の帯を解いて奪う。帯だけを支えにしていた夜着は容易く肌蹴た。   
 
「それとな。…………丁寧に扱ってくれなくていい。まさか生娘だなどと期待している訳でも無いだろう?」
「――――――!」

 微かに顔を俯かせて、自嘲の響きを混ぜてユウが告げた言葉に一瞬思考が停止した。
 生娘云々じゃない。そんな事は承知の上だ。
 その、前が。

「…………ユウ、そんな風に思ってたんさ…………?」

 高揚していた気分と体に冷水でもぶっ掛けられたみたいだ。
 怒った訳じゃない。
 ただ、哀しかった。
 けれどそんな俺に、ユウは不思議そうな顔をした。

「だってこんなんじゃお前が満足できないだろう?」
「え、」
「俺が何かしてもらってるだけじゃお前は良くないだろう?」

 …………。
 今、此処で是正すべきな考えの違いがあるさ…………!

「…………あのさ、ユウ。男は皆突っ込ませて腰振らせときゃ満足すると思ってるさ?」
「違うのか?」
「ま、まぁそんな時もあるのは否定しないけど。…………だけど、今はそうじゃない」
 
 ただ抱いて、満足するだけなら何もユウが相手じゃなくなくて良かった。
 そんな事がしたいなら、今日までの二年の間に色街にでも通ってそれこそ娼妓を買えば良かっただけ。
 だけど、求めたのは、

「ユウ、男は好きな相手は大事にしたいんさよ?」

 …………自分の直球っぷりに涙がでるけど、他に巧い言葉が見つからない。
 だけど彼女は、まるで目の前にとんでもない阿呆でも居るかのような顔で目を丸くしていた。
 そこの違いは、仕方ない事なのかもしれない。
 ユウにとっちゃ性行為は金を稼ぐ為の手段で、嫌でも何でもやらなきゃならなかった事。
 けれど、そのつもりでこの床を迎えるつもりは、俺にはない。

「…………すまない、」

 居た堪れない、それでも再び押し倒して流すつもりにはならなかった沈黙のあと。
 ユウは呟いた。

「俺には、それは、」

 分からない、そう続くだろう台詞の後ろを引っ手繰った。

「今分かんなくてもいい、だけど今夜知って?」

 何でその行為を仄めかすのに、「愛し合う」だなんて言うのか。
 今夜、嫌になるくらいまで教えるから――――――。










 それこそ「愛してる」って、一族特有の記憶能力を持ってしてもカウントしきれない位囁いた。
 それが上辺の言葉じゃなくて、全て一つ一つに思いを籠めた事に気付いていて欲しい。 
 滑らかな太腿の内側に触れると、そこの上の方は微かに湿り気を帯びていた。
 それを確かめてから、秘部に触れるとそこも濡れていて。
 形を確かめるように指先で撫でて、ほんの少し力を入れて指を沈めると熱い粘膜と体液が絡み付いてくる。曲げた指で中を愛撫すると甘い溜息が上がった。

「――――――っ、はっ…………」

 ユウは顔を見られるのを嫌がるかのように右腕で顔を覆って、左手で蒲団をきつく握り締めて爪を立てていた。
 その左手に手を重ねてから、開いている手で、右足の膝裏を掴んだ。

「っ、」

 足を大きく開くと、ユウがびくっと震える。
 そのまま足の合間に顔を埋めると悲鳴に近いような声で彼女が叫んだ。

「待っ…………! ラビっ、やめっ…………!」
 
 右手が、俺の頭を退けようとグイグイ押してくる。
 だけどそれには構わず俺はユウの秘部に舌で触れた。
 濡れた其処の上の方に、小さな肉芽が存在を主張している。

「ば、馬鹿、やめろっ! …………っあ、んっ…………!」

 それを舌先で転がすと目に見えて抵抗が弱くなった。
 
「ユウ、気持ちいい?」
「っ、ああっ、やぁっ!?」
「もう此処、びしょびしょ…………」

 ユウの声に、熱に、触れる感触全てに、欲情して張り詰めて、痛い位だ。
 身体を起こして彼女の太腿の間に自分の腰を静める。
 
「…………行くよ、いい?」

 耳元に囁きかけると、すっかり紅潮しきった顔と、涙目で頷かれた。
 秘部に宛がった熱い自分自身の先端でユウの入り口をなぞって、馴染ませてから押し入る。

「ああ、く、ぅ…………」

 ユウの表情が微かに強張って、俺の肩を掴んだ指先に力が篭った。

「力抜いて、ユウ」   

 まるで拒むような入り口の圧迫を抜けると、今度は逆に引き込むように絡み付いてきて思わず小さく呻いた。
 最初は少し擦れる様な感触があったものの、ゆっくり奥深くへと入る込むと次第に愛液で滑り出す。
 
「っ、んんっ、」

 耳に入る甘い嬌声に、脳まで蕩け出しそうで。
 根元まで入り込んで、たった今通ってきた道を後退し、再び押し入る。それを、最初はゆっくりと、段々とスピードをつけて繰り返す。 
 押し入る間には拒むような動きの癖に、出て行こうとするとまるでそれを阻もうとする複雑な動きにともすれば主導権を奪われそうだ。
 腰を休む事無く前後に律動させながら、入り口近くの突起を指の腹で柔らかく押した。

「ひぁっ!」

 予想外の刺激にか、ユウの口から一際高い嬌声が漏れた。 
 身体を捩って逃げようとするのを許さずに、より一層深く彼女の中へと腰を押し付けた。

「や、やぁ…………あんっ、あ、はぁ…………」

 意味を成さない声が、聴覚を尚も刺激し続ける。
 自分が膨張したのか、それともユウが締め付けているのか分からないけれど、キツイ中に最早限界。
 快楽に恍惚とした瞳のユウが、俺の肩から指を滑らせて、背中に指を這わせた。
 
「…………も、イくよ…………っ!」

 足を押さえていた手を外して、両手で彼女の細い腰を掴み、いささか乱暴に腰を打ちつけた。
 ユウも限界なのか、ぎこちない動きで腰の動きを合わせてくる。
 ――――――緊張も、遠慮も、もう無かった。 
 ただ二人で愛を囁きながらその行為に没頭し、
 
「ひっ、あっ、――――――!」
「――――――っ、く…………」

 最後、一際強くユウを貫いた俺は、彼女の中に解放された欲望を放った。












「…………ん、」

 障子から透ける陽光に目が覚める。
 
 …………暖かい。

 この身体をきつく抱き寄せたままのラビを見上げ、腕の中で苦笑する。
 共に達した後、そのまま気を失ったものらしい。
 ラビを起こさないように細心の注意を払いながら腕の中から出でて、褥の上に半身を起こす。
 微かに燻る腰の痛み。…………二年の間に、思ったよりこの身体はその行為を忘れていたらしい。
 
「…………」

 ラビは、間抜けな顔をして眠っていた。いや、間抜けというか、緩みきった、だけど幸せそうな顔だ。
 昨夜の事を思い返すと顔に血が上る。

 廃業したとはいえ玄人であった筈の俺が、ああもラビのなすがままに…………

 愛を語る低い声と触れる熱を思い返すだけで、多分赤面しているのだろう。
 一人で顔の火照りを持て余していると、

「っ、」
「おはよ、ユウ」
「…………すまない、起こしたか?」

 何時の間に起き上がったのか。
 後ろからラビに抱きしめられ、絡め取られた。
 
「んーん、そろそろ目が覚める時間だったから。…………ユウはどう、しっかり眠れた?」
「…………ああ」

 あれほど眠りが深かったのは久しぶりだ。
 
「? ラビ、?」
「…………もうちょっとだけ、ね?」
 
 絡め取られていた俺は、ラビが自分から褥の上に転がるとそれに合わせて褥の上。

「もうちょっとだけ、こうしてて」
「――――――…………」

 朝日の差し込む寝間の内。
 とても恥ずかしくてだけど愛おしい、そんな静かな時が流れていた――――――。
 

 


<終>



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